2日目。
4時40分に起床。4時に目覚ましをかけていたので、寝過ごしたわけですな。
ちなみに、身体の下にしている部分が冷たくて夜中に何度か目が覚めたり。一応、銀マット(銀色を下にしましたヨ)の上にイスカ ウルトラライトマットレス165を敷き、さらにシュラフカバーまで導入したのに。銀マットが薄過ぎたんでしょーか。
雪上キャンプの場合、「テント全体をカバーする薄い銀マット」ではなく「マットレスの下だけカバーし、その代わり厚い銀マット」にしないとダメかもしんない。
寝過ごしたにもかかわらずノンビリ朝食を摂っていると、ご来光を拝むことができた。

6時半、バックカントリーの準備をして出発。
今回搭乗するのはVAPOR。
東に向かい、けっこー大きいクラックを越える。

落ちたらたぶん自力で這い上がれない。底も見えなかったし。
余所見しててこんなのに落ちたらと思うとぞっとする。
で、テント場の東にあるこの谷を登ってみようかと。

画像の真ん中あたりにあるS字のルートを登り切り、右側の陽のあたっている広めの斜面に出てみようという意欲的な試み。
早朝の立山。
日向は表面が少し融けたシャーベット状の雪。日陰はカリカリのアイスバーン。
雨による流水の痕が畝(うね)のようになっていて、相当滑りづらいだろうなと思える。
S字のルートは思った以上の勾配で、ところどころにクラックになりかけている裂け目があり、テント場を出てすぐに見かけた大きなクラックが頭をよぎる。
心臓がキュッと縮むのを感じながら、それらに近づかないようにジグザクに進路を取る。
ハイクアップを始めてから1時間半後、斜面に呆然と立ち尽くす自分がいた。
スノーシューのアイゼンの食いつきが悪くなる程度に斜度が強くなっていて、時折、スノーシューが滑る。ここで滑落したら…その先は思考を止めたくなる。
後ろを振り返ると、遥か下に今朝出て来た自分のテント。

このルートをどこまで登れば、安全な場所に出られるのか。
さっき尾根だと思ったところはただの斜面変化だった。その前に休めると思ったところはクラックだった。
一番、安心できる選択肢は、板に履き替え、滑り降りてしまうことだったけど、とても板に履き替えられるような斜度ではなく、板の履き替え時のリスクも高い。
スノーシューを履いたまま降りるくらいなら、絶対に板で滑った方が安全に思えた。
進退窮まっちゃったヨ…。
結局、もう少しハイクアップしたところで、吹きだまりを発見。十分に板に履き替えられるスペースはあり、安定もしていそうだったので、そこに避難。
これ以上、上に登るよりは、ここから滑り降りた方が安全と判断し、最初に立てたプランを変更。
ウェアを着用、板を装着、ゆっくりと滑り始め、クラックを避け、落石を避け、後半の緩い斜面はじっくり味わいながら10分もかけずに滑り降りる。麓からテント場近くまではキャタピラの跡を滑って、無事、テントに到着。
ひー。
怖かった。
でも無事戻れた。
生きてることに感謝。それを実感させてくれたスノーボードにも感謝。スノーボードの神様に感謝。

テント場から再度ルートを確認。
ついさっきまで、あんな遠くにいたかと思うと、ちょっと不思議。
そして、右側の広い斜面を滑れなかったのが残念でならない。
もう一本滑ろうかどうしようかと考えつつ、もう水がなくなっていたので、水場の水を煮沸しつつ休憩し、少し余力を感じたので、今度はテント場の南側の斜面にアタック。

何度も休憩を入れつつ、それでも30分で雷鳥荘の高さまでハイクアップ。
帰り道の登山道も発見。

ファーストアタックにくれべればイージーな斜面を3分程度で滑り下り、テントに到着。
10時を過ぎていたので軽めの昼食を摂り、のろのろと撤収準備。
設営よりも時間がかかり、11時43分にテント場を出発。セカンドアタックのときにハイクアップしたルートを今度は全装備を担いで、かつボードを手に持ってよじ上る。
後半は板を水平に突き刺しながら這い上がり、尾根沿いにできたクラックの間をソロソロと渡り、登山道に到着。
スノーシューを外し、ザックに取り付け、精神的には楽になったけど肉体的には限界を感じながら、昨日来た登山道をひたすら戻る。
途中、観光用の看板を発見。

山崎カール。
名前は聞いていたけど、まさに今朝のファーストアタックの谷が山崎カールだった。
もしかしたら、とは思っていたけど、今ここで明らかになった俺の今朝のルート。
ねぇねぇみんな!!今朝ボクここ登って滑ってきたヨ!!
超軽装のフツーの観光客…下手をするとハイヒールに香水の香りを漂わせているよーな観光客の中、ただ独りスノーボードとテント装備を担ぎ、ドロドロに汚れた俺が息を上げながら主張しますヨ。
13時過ぎ、室堂に到着。さらに1時間半後の14時半ごろ立山駅に到着。2時間かけて帰宅。
ものすごく疲れたけど、雪上キャンプも体験できたし、結果的に山崎カールのうちのひとつを登り、滑ることもできたし、なにより自分で考え、行動することができた満足感。
ヤバかったシーンもあったけど、この経験を次に生かし、より安全な行動を取るための指針にできる。
とりあえず、今シーズンは今回の30日目の滑走をもって板を納めることになりそう。
大きな怪我もなく、事故もなく、今シーズンも無事に下界に戻らせてくれたスノーボードの神様に再び感謝。
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